SNS型ロマンス詐欺は、SNSを通じて恋愛感情や親近感を抱かせ、被害者から金銭をだまし取る詐欺手法です。
近年、Facebook、Instagram、LINE、マッチングアプリなどのSNSプラットフォームを利用して接触を図る詐欺が急増しており、令和6年11月末までに認知された被害件数は合計3,326件、被害総額は約346.4億円にのぼっています。
特に、SNS上で知り合った人物を信頼させ、投資や送金を促すケースが多く報告されています。
引用元:www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/sns-romance/sns-touroma2024.pdf
目次
被害の現状
SNS型ロマンス詐欺や投資詐欺は、ここ数年で大きく増加しており、被害の規模も深刻です。
警察庁のデータによれば、令和5年から令和6年11月までに認知された件数は、前年同期比で約2.4倍増加し、特に投資詐欺による被害が突出しています。
SNS型投資詐欺では、被害額が約794.7億円に達しており、ロマンス詐欺でも約346.4億円もの被害が発生しています。
詐欺の手口
SNS型ロマンス詐欺の手口は巧妙で、被害者を騙すためにさまざまな心理操作を駆使しています。
詐欺の初期段階では、SNSやマッチングアプリを通じて被害者に接触し、時間をかけて信頼関係を築こうとします。
この際、詐欺師は魅力的なプロフィールや写真を使い、相手に安心感を与えることに注力します。
その後、親密さを深めるために頻繁にメッセージを送り、被害者に「特別な関係」であると感じさせます。
信頼を得た段階で、詐欺師は巧妙に金銭を要求します。
たとえば「緊急事態が発生した」「ビジネスの資金が必要」といった理由を挙げ、送金を促します。
また、仮想通貨への投資を持ちかけるケースも増えており、「短期間で高い利益が得られる」といった甘い言葉で被害者を誘導します。
さらに、詐欺を見抜かれないよう、感情に訴えかけたり、プレッシャーをかけたりすることもあります。
詐欺の被害に遭う主な要因は、被害者が相手に対して強い信頼を抱いてしまう点にあります。
詐欺師は言葉巧みに人の心を操り、被害者が疑いを抱く隙を与えません。こうした手口を理解することで、被害を未然に防ぐことが可能です。
SNS型ロマンス詐欺の特徴
SNS型ロマンス詐欺は、SNSやマッチングアプリを活用して接触し、被害者の心理的な隙を突く手法が特徴的です。
これらの詐欺師は、言葉巧みに信頼を得て親密な関係を構築することで、金銭を引き出す段階まで被害者を誘導します。
特に、孤独感を抱えている人や恋愛に積極的な人をターゲットにし、被害を拡大させている点が注目されています。
このような詐欺では、詐欺師が被害者に対して一貫して優しい態度を示し、信頼を強めた後に「困っているから助けてほしい」といった名目で金銭を要求するケースが多く見られます。
また、SNS型ロマンス詐欺の巧妙さは、詐欺師が異国の文化や現地の慣習を熟知している場合が多い点にあります。
これにより、詐欺師がターゲットに対してリアリティのある話を提供し、相手を疑う余地を与えません。
さらに、詐欺師がなりすましに使用するアカウントは、写真やプロフィール情報をしっかりと作り込んでおり、一見すると本物の人物と区別がつかないほどです。
心理的な操作による信頼構築
SNS型ロマンス詐欺では、心理的な操作を駆使して被害者の信頼を得ることが最も重要なステップとなります。詐欺師は被害者に対して、時間をかけて頻繁に連絡を取ることで親密な関係を築きます。また、甘い言葉を使って被害者を褒めたり励ましたりすることで、心の距離を縮め、信頼を勝ち取るのです。特に、日々の些細な出来事を共有することで、被害者に「自分のことを理解してくれる大切な存在」と思わせるように仕向けます。
高額な送金を正当化する手口
ある程度の信頼関係を構築した後、詐欺師は徐々に金銭の話を持ちかけます。
具体的には、「緊急でお金が必要」「大きなチャンスがあるので投資してほしい」といった理由を挙げ、被害者に対して高額な送金を促します。
詐欺師は、被害者に罪悪感や責任感を抱かせることで、断りにくい心理状態を作り出します。
このような手法により、被害者は複数回にわたって送金を行ってしまうケースが少なくありません。
写真や身分証の偽造
詐欺師は、信憑性を高めるために偽の身分証明書や職業証明書を提示することがあります。
特に、詐欺の多くは国際的なものであり、海外の政府関係者や軍関係者を装うケースが見られます。
これにより、詐欺師は信頼を勝ち取り、金銭を要求する際の正当性を装います。
対策と防止策
SNS型ロマンス詐欺の被害を防ぐためには、冷静な判断と具体的な対策が不可欠です。
詐欺師は巧妙な心理操作を用いて被害者の信頼を得るため、まず疑わしい行動や言動を見逃さないことが重要です。
特に、短期間で親密な関係を築こうとする相手や、高額な金銭を求める相手には警戒が必要です。
また、「困っているから助けてほしい」といった金銭の要求があった場合には、冷静に状況を見極めることが求められます。
さらに、SNS型ロマンス詐欺を防ぐためには、オンライン上で知り合った相手に対して、個人情報をむやみに提供しないことが大切です。
住所や勤務先、財産に関する情報を相手に明かすことは、詐欺被害のリスクを高める要因となります。
また、写真や身分証を送るよう求められた場合も、相手の信頼性を確認せずに応じるべきではありません。これらの対策を徹底することで、被害を未然に防ぐことができます。
個人情報の保護
詐欺師は、被害者の個人情報を手に入れることで、さらなる金銭要求や脅迫を行う場合があります。
そのため、SNSやオンラインで知り合った相手に対して、住所や電話番号などの個人情報を安易に教えないことが基本的な対策です。
また、SNSの設定をプライベートにし、第三者が個人情報を容易に取得できないようにしましょう。
第三者への相談
疑わしいと感じた場合は、一人で判断せず、家族や友人、信頼できる人に相談しましょう。
第三者の冷静な意見を聞くことで、自分では気づけない問題点を指摘してもらえることがあります。
また、被害に遭った場合や被害に遭いそうな場合には、すぐに警察や公的機関に相談することが重要です。
特に、警察庁が設置するサイバー犯罪相談窓口や、国民生活センターなどが頼りになります。
送金を求められた際の注意点
「どうしても助けてほしい」といった緊急性を強調する金銭要求は、典型的な詐欺の手口です。
このような場合には、一度立ち止まり、相手が本当に信頼できる人物かを再確認しましょう。
また、少しでも不安を感じた場合には、相手に送金せず、信頼できる人に相談することが肝心です。
公的機関への相談と通報
詐欺被害を防ぐためには、公的機関への早めの相談も効果的です。
警察庁ではサイバー犯罪相談窓口を設置しており、怪しい行動を取る人物に対する対処方法や助言を受けることができます。
また、被害が広がることを防ぐため、詐欺の詳細を公的機関に通報することも、他の人の被害を防ぐ一助となります。
〇サイバー事案に関する通報は、こちら
〇サイバー事案に関する相談は、こちら
〇サイバー事案に関する情報提供は、こちら引用元:www.npa.go.jp/bureau/cyber/soudan.html
まとめ
SNS型ロマンス詐欺は、近年増加の一途をたどっており、特にSNSの普及とともにその被害範囲は広がりを見せています。
この詐欺の特徴は、巧妙な心理操作と信頼関係を利用した金銭詐取であり、被害者は多大な精神的・経済的ダメージを受けます。
しかし、適切な対策を講じることで、これらの被害を未然に防ぐことが可能です。
具体的には、個人情報の取り扱いに注意し、少しでも不審に感じた場合は第三者に相談すること、送金を求められた際には即座に対応しないことが重要です。
また、公的機関への相談も効果的な手段の一つです。
詐欺の手口は日々進化し、より高度で見破りにくいものへと変化しています。
そのため、最新の手口や事例を知り、自身を守る意識を常に持つことが求められます。
SNSを利用する上では、相手の言葉を鵜呑みにせず、信頼に足る情報を得る姿勢を持つことが大切です。
今後も詐欺対策を強化し、被害に遭わないためのリテラシーを高めていくことが求められています。
被害に遭わないためには「疑うこと」「相談すること」「慎重に行動すること」の三つを心がけましょう。